- 作者: 橋本治
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/12
- メディア: 単行本
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ところが今回は(といっても去年出た本だが)、突き放すまでもなく一見は接点のなさそうな(実際、中年になるまで読んだこともなかったらしい)対象を見事に論じ切っていて感動した。国文学の深い理解に立って、小林秀雄の近代人としての限界を明確に指摘してさすがである。
小林『本居宣長』の読解を主とする評論で、著者は小林に興味はあっても宣長に興味はないというふうなのだが、著者が宣長に冷淡なぶんだけ一層、宣長に関心を持った。おそらく、三島に冷淡だった原因はこれかと気づかされた、いわばヲタ属性に対する著者の根深い嫌悪で、宣長にも冷たいのであろうか(あるいは左翼の宣長批判の根っこに同じものがあるのかもしれない)。