horror of mean army ?

淡路島かよふ千鳥のなく声に幾夜ねざめぬスマのセンチネル

菅原潤『京都学派』

京都学派 (講談社現代新書)

京都学派 (講談社現代新書)

 学統というほどはっきりしない派生しまくった(基本は勿論タイトルどおりだが)系譜を明治のフェノロサから平成の柄谷行人まで辿る異色すぎる哲学思想史とはいえる。フェノロサからエズラ・パウンドもいってほしかったのは、田辺元も渦巻主義者ではないかと(笑)。ちなみに平林たい子まで名前だけ出てくる。梅棹生態史観に賛同する「右寄りの論客たち」のひとりとしてだが、かえって労農派(すぎて社会党から弾かれた)社会主義者としてそうなんだと思うけどね。
 前著『弁証法とイロニー』もおすすめで、こちらはタイトルが示唆するように田辺元保田與重郎を中心にしたもので著者のいう比較哲学史として今回よりやや専門的だが、論者から論者に八艘跳びに移っていくフットワークの軽さ(源氏でなく菅原氏だけど笑)はその時から感じていて、自分なんかの素人には目まぐるしくも面白いが学者の業界的にはどうなんだろうねと余計な心配もしてみる。
 上山春平が大きく評価されていて、個人的になぜかスルーしてたのをしまったと思った。とりあえず(文明史として近いらしい)柄谷『帝国の構造』を読まないとだが。『世界史の〜』は読んでて交換様式ABCDとか出てきても狼狽えないけど、(柄谷の引用に出てくる)シャルルマーニュから中世かな?とも思う橋本「平家物語」読み。教皇による戴冠ってのが征夷大将軍に近しい。インペラトルとはもともとそういう意味だし。元老院の権威が教皇庁に横滑りしたのだろう。あれ? 何の話してたんだっけ(笑)。