horror of mean army ?

淡路島かよふ千鳥のなく声に幾夜ねざめぬスマのセンチネル

橋本治『双調平家物語ノート2 院政の日本人』

双調平家物語ノート2 院政の日本人

双調平家物語ノート2 院政の日本人

 この「ノート」2冊が、また長大な「あとがき」ともいえる。かなりざっくばらんに「なぜこう書いたのか」ということを明かしていて、時間のない人はこの2冊だけ読んでも作者の本編16巻で伝えたいことは理解(だけ)できるのではないかな。
 たとえばこの橋本平家は、三田誠広がこの時代に取材した『清盛』『夢将軍 頼朝』『西行 月に恋する』『阿修羅の西行』といった連作と読み比べてみるとわかるが、(大岡昇平のいう意味で)歴史小説としてよほど真っ当なものである。しかし著者はこういえるほどに優れた歴史認識より、意図としては(現代に通じる)日本人論として書いてるようなのだ。つまり通時性より共時性、その歴史観もつまるところオーソドックスな講座派なんじゃないかな。