horror of mean army ?

淡路島かよふ千鳥のなく声に幾夜ねざめぬスマのセンチネル

読者諸君に告ぐ! 願わくば吾輩の不埒千万なる過去の罪を許せ。

横田順彌會津信吾『快男児 押川春浪

 なぜか出てくるんだよなあ…たしか持ってるとはぼんやり覚えていたけど。こちらは協力者と共著の伝記。博捜せる資料から引用多く(丸ごと一篇の旅行というか遠足記も収録)その檄文調からもバンカラ人物像が浮かび上がってくる。
 遠足といったが同時代的にワンダーフォーゲルで、ドイツの運動に非常に似ている。春浪論(70年代桃源社から復刊本の解説)も収録する種村季弘『夢の舌』(作家論集)で(その春浪論ではなく表題の島尾敏雄論に)「日本化された文学的ユーゲントシュティール運動であった日本浪漫派」とあるが、小杉未醒や倉田白羊を擁し周辺には村山槐多もいる天狗倶楽部が運動としてのユーゲントシュティール=ワンダーフォーゲルで、日本浪漫派は無意識にその影響を受けた世代、ドイツでいえばワンダーフォーゲルの気分を残したSA(突撃隊)不満分子でレームとともに粛清されるか抑え込まれてしまったか…などということも考えた(知識人的にはハイデガーがまさにそうか)。ただ厳密にはワンダーフォーゲルは禁酒で、酒で健康を害して早逝した春浪のガロンドランクは飽くまでバンカラ。上記タイトルは、さすがに文業に差し支えて禁酒の誓いをした(守れなかった)時の書き出し。