horror of mean army ?

淡路島かよふ千鳥のなく声に幾夜ねざめぬスマのセンチネル

今ごろ今年の読書目標

杉浦明平『小説 渡辺崋山』上下

 江戸時代じゃなく「日本の19世紀」ということを、たしか海野弘氏が言われてたけれども、ロシアの19世紀やヨーロッパの19世紀と同時代のこととして捉えたい。バーリンの選集三巻が岩波文庫で最近出て、その二巻目の『ロシア・インテリゲンツィアの誕生』から古い河出世界大思想全集の端本でベリンスキーとゲルツェンを読み、松田道雄『在野の思想家たち』でゲルツェンと北一輝を比較する一章を読んで、トロツキー二・二六事件を評してデカブリストの乱みたいなもんだといってるのと同じ「なんだかな…」という感があった。
 仮に社会主義者として比較に堪えうるのが「発展段階」のちがいで両国で一世紀の時間差を生じた両者としても、そんなことより同時代人同時代に起こった事件を比べるべきだ。デカブリストならシーボルト事件だし、ゲルツェンには崋山だろうというのが私の考え。
 ニ段組上下合計1300ページ(文庫化されたのが全8巻)のこれを今年読破する目標にしたのは、野口武彦『江戸人の昼と夜』を読了した9月初めなので(ほかに並行的に何冊も読んだのだが)二ヶ月かかって文庫本だと(各巻同じくらいのページ数として)5巻の途中くらいのところだが、なんとか今年中に読めそうな感じ。
 すでに大塩平八郎の乱も起こって崋山に衝撃を与えているのだが、これなんか七月革命(も崋山の知識にはあったらしい)と二月革命の中間に起こった都市の蜂起で、その後30年で革命(同時代にはパリ・コミューンドイツ帝国の成立)にまでいたるまさに「日本の19世紀」であろう。