著者は70年代イタリア
新右翼の緊張戦略で無差別テロを起こしたネオ・
ファシストの日本亡命を幇助したと以前
サピオ誌に出ていた。左翼の蔑視・滑稽視から救抜しようという動機は
鹿島茂『怪帝
ナポレオン3世』に近いし、書かれた人物も本質的に似ているが、無関係の日本人のオタク的面白がりでなく、さすがに党派的な真剣さで格調は高い。本書に
エチオピア侵略時ナイーヴなジョセフィン・ベーカーが「
ムッソリーニは黒人
奴隷制度を打破する人物」と擁護するエピソードが出てくるが、同じ理屈は
イラク侵略の今日でも聞かれる。