horror of mean army ?

淡路島かよふ千鳥のなく声に幾夜ねざめぬスマのセンチネル

ミシマ:ア・ライフ・イン・フォー・チャプターズ

 以前、岡村隆史三島由紀夫を演じる映画を撮ってほしいというようなことを書いたが、それはこの映画が念頭にあったのだ。そのときはスチール写真でしか知らなかったのだが、今回実際に観てみると、意外にいい映画だったのである。
 三島最後の一日をドキュメンタルに追いながら、彼の生涯と文学のダイジェストを挿入していく。小説を舞台化したような描きかたが三島の世界(端的に台詞が凝ってる)を表現して巧いと思う。その石岡瑛子の美術やワーグナーチックなフィリップ・グラスのサントラが非常にマッチしている。
 それだけに、熱演にもかかわらず主役のミスキャストがなおさら惜しいのだ。どうしようもなくキャラが違うというほかない。さすがにこれを観た後で岡村隆史でとはよういわないが、でももっと神経質な少年ぽさの抜けない感じが三島役には欲しいと思うのだ。緒形拳以外の豪華キャストの代替を今現在求めることも難しいと思われるが。