日活のこのシリーズはいまいちマイナーなのだが、このムードの最高さで東映の新旧路線は無論としてより好みで偏愛するものである。ブリティッシュロックに例えれば、東映の健さんの任侠映画がゼップやDPの古典ハードロックとし、文太さんの実録路線がパンク・ムーヴメントとしたなら、ニューウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィーメタル(NWOBHM)みたいなものといえようか。(当時の)現代に舞台を取り、ドスを向けられる恐怖の生々しさと、哀調を帯びた人間ドラマを併存させて、古典的でも現代的でもあるスタイリッシュな描き方が無類だ。これを同時代に高く評価していたのが、やはりというか平岡正明なのだった。
追悼としてこれまでに貼ってきた動画の流れで存命中のかたをピックアップすれば不吉な所業ととられそうだが断じてそうではない。むしろ20年以上も前から癌闘病されてきた(それだけ寿命を勝ち取られた)渡さんこそが、われわれ現下の懸念にとっても希望である。
なおわれわれの関心にひきつけてこれを見るに、松原智恵子さんのこの「妹」キャラがまた、先駆的に(現在の意味での)アイドルなのである。