アレントによれば、
古代ギリシャにあった政治と経済の峻別が中世から近代に至って失われたことが、政治と経済の連続体たる社会の抑圧に苦しむ個人という
全体主義の「条件」である。こんな教養課程の教科書然とした小著でも、大思想家の要点が押さえてあるので、卒業後に世間に流されて読むビジネス本なぞ一蹴できる内容があるのだ。
プルーストを読んでいて疑問に思っていた
第一次大戦前
ユダヤ人の
社交界における地位にも、予期せずこの本によって解答を得られた。駅前ショッピングモールのありふれた書店にも稀な入荷だと興味のない当時に買っておいて吉。