horror of mean army ?

淡路島かよふ千鳥のなく声に幾夜ねざめぬスマのセンチネル

はるな愛 あらびきSP

 『失われた時を求めて』を読んでいて、著者が同性愛者だからかどこか感じ方が奇妙、といえば語弊があるがあまり普通の男性に見られない感情の動きと思うものがある。しかし自分にもその奇妙さは多少とも共有されているのであって、例えば今でいえばアイドルのような存在に対する好みである。それは男性に普通といえば普通でもあるのだが、普通でなくなる入り口であるかもしれない。そういうものに憧れるだけでなく、「なって」しまおうとすると……そういう衝動をいくらか(程度に差はあるが)出してしまっている者をライヴ会場でしばしば見かける。小説家においては「社交界に入って観察し描写する」という自己実現としても穏当な形をとって結果として古典であるが、大衆社会でじかに表現されるとキモヲタでしかないわけである。その究極的に完成された形で、現代のある公然同性愛者が一例として松浦亜弥というものの何処に惹かれているかを文字どおり具体的に示しているのを掲げてみよう。

 芸風の近い藤井隆や、真似られている対象の大先輩である南野陽子というギャラリーもツボであるし、東野幸治のツッコミも的確で見飽きない。何より、このアイドル批評でもあればオマージュでもある作品には、文章ではなかなか及びがたいと脱帽のほかない。