horror of mean army ?

淡路島かよふ千鳥のなく声に幾夜ねざめぬスマのセンチネル

犬神家の一族

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 レンタル中古品を500円で購入したのだが、リメイク作品と(リメイクされたことも)知らず70年代の作品のつもりで入手した。しかしリメイクであることに本質のあるような作品なのであった。
 wikiに出ていたとおりの犬神図像を富司純子が拝んだり、犬ではなく人間様の首がゴロリと落ちたり、地面から顔でなく湖面から足だけ突き出た死体とか、いかにもおどろおどろしいのも、楽しいけど本質ではない。
 監督本人による最初の映画化は76年、30年目の06年リメイクということで、30年で一周期の海野弘セオリーどおりの回帰。実際この76年と06年の出来事を比較してみよう。

 作品の時代設定が40年代後半、さらに30年遡っているが、この当時の原作者の意図として、戦時中のモダニズム禁圧で探偵小説の書けなかった怨念深く、再開した執筆で反封建(封建制とは事実上、天皇制)闘争を展開していたといえる。フロイト的原父たる親爺の一片の布告(遺言状)で、女や息子たちが右往左往して殺したり、殺されたりしてしまう。天皇の宣戦した対米戦争をそういう風に捉え、おどろおどろしい封建家族内の殺人事件として推理小説化したのが原作をはじめとした作品群であり、70年代後半に角川文庫〜映画化によってリヴァイヴァルした。角川家の家庭の事情が時代とシンクロしていたのが看取されよう。
 さらに30年後。市川崑がリメイクした真意も歴然たるものがあろうかと。

*1:自民党三名の無能を国会その他で面白おかしくあげつらった田中真紀子本人も言うまでもなく