horror of mean army ?

淡路島かよふ千鳥のなく声に幾夜ねざめぬスマのセンチネル

TV 魔法のメディア

http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480056153/
 わずか16年前の「新書」であるのに、その出版直後からの変化で決定的に古びてしまった本だ。と、読む前には思えたのだが、意外と、ここに紹介されているTV論(特にマクルーハンの触覚メディア論など)は、ネット時代でこそ、よりよく理解されるだろう。当時はアルバート・ゴアの情報ハイウェイ構想として予感されていたにすぎないネット社会の実現で、かつてマクルーハンが予言者的にTVに見た可能性(TVによりネットにこそ当てはまる)が今では誰にも実感されるようになっている。「グローバル・ヴィレッジ」は勿論、画面に直接触れるインタラクティヴなんて、彼のヴィジョンの実現といわずして何だろう。写真〜映画〜TVと推移した視聴覚文化史の議論をたどり、ネットの現在というものの「起源」を探究するのに役立つ小著だ。
 ただ、この先生独特のハズし方があるなと。前にも書いたが、ヴァン・ウォルフレンを朝日新聞書評欄で叩くという行為は、近代批判とかなんとかの文脈に沿っていようと、それ自体は官僚をはじめとする既得権益層(本人に自覚はないみたいだが)の擁護にしかならない。こういうマクロなところからミクロには、「サンティーヴ」(著者の滞在地の地名)を「サン・イヴ」(著書名で)とか独自に変な表記にこだわったり。本書でも、「カプリコン1」という映画のことで、火星有人着陸がもうあったように思い込んでるふしがある。