2007-05-02 八切止夫『徳川五代記』 徳川五代記―徳川綱吉 (1976年)作者: 八切止夫出版社/メーカー: 日本シェル出版発売日: 1976/10メディア: ? クリック: 3回この商品を含むブログ (1件) を見る 中薗『艶の隠者』と同時代的には権力の文化政策は「御法度」という形態をとるが、これに対する具体的な抵抗勢力として皇室と被差別の結びつきを構想しているのは隆『花と火の帝』の先駆になる。具体的というのはフィジカルにということだから、それは冒険であって文学的には通俗なのはいたし方ない。慶安太平記と伊達騒動と幡随院長兵衛に被差別史観から尊王倒幕陰謀論の一貫した脈絡を通してさすがである。また、最近文庫にまでなり妙に人気の高い『言海』の大槻文彦を史料的に批判してもいる。