horror of mean army ?

淡路島かよふ千鳥のなく声に幾夜ねざめぬスマのセンチネル

林屋辰三郎と保田與重郎

 国民の歴史〈第14〉寛永鎖国―カラー版 (1969年)林屋辰三郎著を読了した。200円で購入した古書。受験参考書で知られる出版社が刊行したシリーズだが、この巻を見てもわかるように近世の充実した編集で、国民の歴史〈第17〉大御所時代―カラー版 (1969年)も見つかれば読んでみたい。昭和中後期には文学全集やこうした歴史のシリーズが乱発されて、今(かなり前からだが)その端本が非常に安く手に入る。各版元で巻の分け方がちがうから、自己の必要でフレキシブルに選ぶこともできる。最近読んだものでも日本の歴史〈25〉自由民権 (1976年)日本の歴史〈31〉戦後変革 (1976年)がある。前者は杉山茂丸俗戦国策

食客風雲録―日本篇

食客風雲録―日本篇

で興味を持った時代の背景を知るため。後者も
朝鮮戦争と吹田・枚方事件

朝鮮戦争と吹田・枚方事件

大阪で闘った朝鮮戦争―吹田枚方事件の青春群像

大阪で闘った朝鮮戦争―吹田枚方事件の青春群像

などの背景を知りたかったからである。ちなみに戦後変革の著者・大江志乃夫も、月報で「パイプ(煙草)党」と紹介されている。さて、随分まわり道をしてしまったが、今回の林屋辰三郎著書を読むと、
日本の文学史 (保田与重郎文庫)

日本の文学史 (保田与重郎文庫)

の意外に詳しい近世部分で、高校の教科書では素通りされているためにわかりにくかった箇所がよくわかる。また桂離宮とともに寛永文化の双璧である日光への紀行文が一章をなしていて、その文中で東照宮の太郎杉保存運動で趣旨に賛同したらお礼の絵馬が送られてきた喜びを語って、それに引きかえ民主運動への署名や醵金がどのように利用されたか梨のつぶてが多いと不満を漏らしている。つまり(不満はあるにせよ)左翼に同情的で保田與重郎とは反対の立場なのだが、上方ローカルの関東に対抗的な文化的パトリオティズムで案外と共通の地盤に立った二人ではないかという気がした。これらに関連して今は
花と火の帝(上) (講談社文庫)

花と火の帝(上) (講談社文庫)

艶隠者―小説 石川丈山

艶隠者―小説 石川丈山

を読んでいる。石川丈山は林屋著にも出ているが、前田愛鎖国世界の映像 (1976年) (江戸シリーズ〈1〉)で興味深く描かれていた。

(上記一部の商品紹介でリンクをたどってアマゾンの詳細ページから行くとユーズドの出品者が「たんぽぽ書店」となっていて驚いたが、当方と無関係ですのでお間違いなく。また近くに古書店のある方には到底おすすめもできない価格設定です。)