- 作者: 井上章一
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/09/01
- メディア: 新書
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既にネタを明かしたことだがゴロムシトク著を読んでいると、その刺激的な見方を応用すれば井上の紹介した事実こそ川村説を裏づけることになるのだ。国府も中共も重慶や延安に引っ込んでいた時はバラック建て同然のもので済ませていたのではないか。満洲事変と満洲国建設こそが日本ファシズムの最盛期なのであって、その時期の帝冠様式こそを日本ファシズムの建築とすべきである。そして、独ソの全体主義の様式が互いに似通ったものとなったように、日中の全体主義で建築様式も似通ったものになったのである。著者に自覚はないようだが、日本の軍国主義が独伊のファシズムと異質であると強調することで、西尾幹二流の自覚的な侵略戦争免罪論に棹さしているのであり、(坪内もそうだが)ノンポリを自負するような人にありがちな政治センスのなさを露呈している。