- 作者: 伊藤潤二
- 出版社/メーカー: 朝日ソノラマ
- 発売日: 1994/08
- メディア: コミック
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表題作は著者の最高傑作として間違いない。およそ全作品が高水準なんだが、ファースト・インプレッション(インパルスか)は超えないな〜。この作品は、(ここであえて現時点だからこそのタブーを話題とするが)あの岡田有希子自死とそのファン殉死事件に取材というか、それを起点として展開される奇怪な妄想であって、そのストーリーが飛躍してゆく突拍子もなさ加減が比喩でなく(睡眠中の)夢そのもので、この正真正銘の悪夢をリアルな描線で定着する力量は、やはり万人の認めるホラー漫画の天才以外の何物でもない。
代表作は「富江」連作らしいが、今述べた展開のアナーキーさで長編『地獄星レミナ』も捨てがたい。このあたりから読んでみるのが初心者にはいいんじゃないか。上の本の最初の短編「血玉樹」も出色の吸血鬼漫画。往年の岸田森主演映画みたいな、和製B級なのにスタイリッシュでムーディーなのがなんともいえない。