horror of mean army ?

淡路島かよふ千鳥のなく声に幾夜ねざめぬスマのセンチネル

憂国のラスプーチン

憂国のラスプーチン 1 (ビッグコミックス)

憂国のラスプーチン 1 (ビッグコミックス)

憂国のラスプーチン 6 (ビッグコミックス)

憂国のラスプーチン 6 (ビッグコミックス)

 最初の巻と最終巻を並べてみた。主人公、佐藤優ならぬ憂木衛の容貌の変化に注目だ。 伊藤潤二独特のマネキンのようなヒューマン抽象的なキャラから、かなりモデルに似た感じになってきている。
 彼の描く人物は、(だいたい主人公の)美男美女でなければ、怪人怪物という(美男美女=怪人怪物というパターンもあるが)、そういう「マリオネット」で、これらが背筋がスッと伸びた感じで演じる劇がスタイリッシュな印象を与えている。
 モデルになっている元外交官の容姿は、ラスプーチンと呼ばれたのも無理はない怪僧的に魁偉な、むしろ現代の西郷どんといった怪人、よく言えば大人物なのだが、ホラー的な状況で苦闘する主人公としてヒョロッとした美男(私なんかが感情移入しやすい?笑)に描いてるのが当初いささか違和感があった。
 それがだんだん実物に近づいてるのが興味深い、というか漫画家として一皮剥けたのかな?それが良いのか悪いのか判断は今のところ保留したいが…。原作以外に脚本家も挿んでがっちり固めてあるからホラー風味はあるものの現実的な話になってるが、ある外交官が「国策捜査」で捕まって…という発端でこの漫画家がひとりで描き出したらどんな異様な世界(カフカ的どころじゃないだろう)になっていたか、それも読みたかった気がする。