- 作者: ジョージ・ソロス,ジョセフ・E・スティグリッツ,クリスティーヌ・ラガルド,ジャン・クロード・トリシェ,トニー・ブレア,徳川家広
- 出版社/メーカー: 土曜社
- 発売日: 2012/08/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ただ一つ、大いなる皮肉というべきは、ダイヤモンドのコラム(引用者注「銀行は、よき市民たりうるか?」たりうると書いた)であろう。ここに収録された原稿を執筆した時点では、総試算では世界有数で、イギリスでは最大の銀行バークレイズの最高経営責任者(CEO)だったダイヤモンドだが、その後バークレイズがLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)を世界の他の主要銀行と結託して不正に操作していたことが露見して、巨額の退職金を放棄したうえで、辞任してしまったのである。
などといってるが(巨額な退職金を放棄したことは東電幹部の恥知らずよりマシではある)、皮肉はそれだけにとどまらない。ヒラリー・クリントンやスーザン・ライスを絶賛する米プリンストン大学教授スローターや、プーチンの失墜を待望した米ニュースクール国際関係大学助教授クルシチェヴァの思惑が大ハズレしているのも、まったく喜ばしい「皮肉」である。
本書の出版社の背後関係も怪しいものだと思うが、そこから大杉栄の著作が出てるのも意味ありげだ。今では中森明夫ごとき似非リベラルがアリバイに使うようなアイテムなのだから。