horror of mean army ?

淡路島かよふ千鳥のなく声に幾夜ねざめぬスマのセンチネル

東島誠・與那覇潤『日本の起源』

日本の起源 (atプラス叢書05)

日本の起源 (atプラス叢書05)

 今週のお題ゴールデンウィーク2017」に読んだ本ということで…新刊でも近刊でもないんだけど。対談者の片方は存じていたが、これによって東島氏にも関心を持った。古代から現代まで日本史の批評といったもので、専門家として学説史を振り返りながら新しい知見を披歴してくれる。それだけでも勉強になるし、ありがたい。
 あえて異議を唱えるとすれば、丸山眞男(って一発変換できないんだな)に対する吉本隆明のスタンス(そのこと自体が触れられているが)になるだろうか。だが、それにも徹しきれないね、今の大衆って、すなわちオタクだから、その現場(この場合ネットの)にいてよく知ってるからな〜。今の吉本的な代表は東浩紀じゃないかと思うんだが(『一般意志2.0』とか)、一部オタクの想像を絶するネット上の多数派捏造の悪辣さに楽観的すぎるというか。あなたはオタクぶってるけど、ちがうでしょう?(ご自身の善良さを基準にして悪人の存在をご存じない)って思うんだな。
 (ある年代以上の)日本人におなじみのポーランドワレサを「ヴァウェンサ」という(正確な発音らしい)東島氏の高踏さも、「宇宙戦艦ヤマト」でスターシア死亡編という特殊なヴァージョンを正編のように語るミスを犯している與那覇氏の(オタクから見て)底の浅さも、大衆から遊離してるのは明らかだが、だからといって大衆よりダメともいえない。おおいに学ばせてもらい、それをどう(東島氏のキーワード「江湖」的に)土着化(というとご両人は眉を顰めそうだが)させるかは読者の課題だ。