- 作者: 原武史
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/10/10
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 15回
- この商品を含むブログ (31件) を見る
この本の第二部「埼玉の謎」に示されるように、近代(その成立の経緯も書かれて興味深い)埼玉県になる所まで中山道(にはまだなってない頃だろう)を下って来てたらしい。氷川きよしの芸名の由来である(とはこの本に出てないが)氷川神社が出雲系なのだという。
といった話はオマケで第一部「復古神道における<出雲>」が本編だ。こちらも平田神道の出雲傾斜がついに異端として排斥されていく思想史を説いて興味深かった。出雲大社教が教派神道として宗教に疎外されたのも明治初期の路線闘争に敗れた結果なのである。
しかしこのように本格的な神道研究の専門家であるにもかかわらず(以前『レッドアローとスターハウス』で指摘した左翼関係には疎いとしても)、やはり今度読んだ著書『皇居前広場』(光文社新書)にこのようにあるのはいかがなものか。
とすれば、天皇の立つ二重橋は、『古事記』や『日本書紀』に描かれた「高天原(ルビ:たかまがはら)」を象徴しているといえないだろうか。(P.103)
いえない。高天原はそこから降臨する場所で、そこに降臨した場所は「高千穂峰」だろう。現在は文春学藝ライブラリーで「完本」として出ているから本屋で調べてみたが、そのままだ。この以前に、ちくま学芸文庫に「増補」版もあり初出の新書から三回も発刊されているのに誰も気づかなかったのだろうか。