horror of mean army ?

淡路島かよふ千鳥のなく声に幾夜ねざめぬスマのセンチネル

橋本治『双調平家物語〈7〉乱の巻』

双調平家物語〈7〉乱の巻

双調平家物語〈7〉乱の巻

 全14巻の半分7巻で、「保元の巻」の次の「乱の巻」だが、この巻においてもまだ「保元」の「乱」は始まらずに終わってしまった…。つまり「平家物語」と題してからにおよそ半分の量を費やして「武者の世」にもなってないということだ。それはそれで納得して読んでるんだけど。
 しかし藤原「悪左府」頼長が、こんな男色家とは知らなかった。今まで読んだ一般向けの平家関係の本でそんな話なかったんだが…とはいっても純然たるフィクションでこんなこと書くわけないだろと思いWiki見たら、ちゃんとそのとおりの史実、しかも本人が日記に書いてるらしい。公家の冠のっけたまま全裸でサカってる男ふたりなんてイメージはいまだかつて想像したこともなかったよ(苦笑)。著者の是非に描きたかったことでもあろうが、この時代がローマ帝国と同じく日本の古代なんだっていう歴史観が正しい。
 木曽義仲の父「帯刀先生」義賢(「たてわきせんじょう」と覚えてたが「たちはきのせんじょう」らしく細かく正確)も男色の相手になっているのだが、あとから嫌がって「キモッ」みたいに反応して頼長の不興をかったのは事実かどうか知らないが、まさに武者「がらみ」のそこから頼長が没落の予感を抱くのはストーリーテリングとしてたくみだ。