その点、この著者はスカッと言い切って気持ちがいい。昔
ニューアカデミズムの文脈で『
グロテスクな教養 (ちくま新書(539))』にその典型的人物として揶揄された
細川周平(でも『
サンバの国に演歌は流れる―音楽にみる日系ブラジル移民史 (中公新書)』はいい仕事だよ。)の訳書によって紹介されたりしてたのが誤解を生んでいるかもしれないが、この
ヴィリリオという人は、扱う対象はたしかにウルトラモダンでも、実はガチガチの
カトリック保守派なのである。
カトリックというのは
ヒトラー総統が
ユダヤ人と同じくらい嫌っていた
全体主義の天敵だった。なぜそうなのかというと、
全体主義を必然的に孕む近代を自明に見ていないからだ。