アジア的な体制から脱出するとき目指されるのが
アメリカ民主制だとして、その反面の
帝国主義をディレンマとせざるをえない。この両面性が、例えば『
宇宙戦艦ヤマト』においては
イスカンダルと
ガミラスの二重惑星と表現されるのだ。ゴルディアスの結び目ともいうべきこの難問を明快に断ち切って、著者らは
アメリカ民主制を白人
旧大陸からではないインディアン起源としている。
関曠野氏は
ギリシャ・ローマと一緒くたにするのは誤りで、
ギリシャとローマは断絶していると説いたが、
ローマ帝国が
ギリシャ文明の後継を詐称したように、白人
アメリカ帝国は先住
アメリカ人の民主制を偽装していたのだ。ちなみに日本に開国を迫った黒船の、旗艦名「サスケハナ」「ポウハタン」がそれぞれインディアン部族、酋長名と(著者らは気づいてないが)この本で知った。ペリーという外交全権を乗せる戦艦の
命名がそういうものであることも、本書の記述の正しさを明かしている。