horror of mean army ?

淡路島かよふ千鳥のなく声に幾夜ねざめぬスマのセンチネル

「ナルニア国物語/第3章: アスラン王と魔法の島」

http://movies.foxjapan.com/narnia3
 観てきた。今度は朝日新聞ではなく神戸新聞会館。昔、電車線路側に山一證券(周知の破産)の富士山の絵があったビル、震災の被害を受けて建て直された。今は「カップルで楽しめる」を謳うリア充向けの施設なんだが、こういうピンポイント目的で利用するのみ。
 例によって千円均一のところ、3Dご鑑賞で別途300円かかる。これ初めてで何事も体験と行ったわけだが、さてまず入場時に3D眼鏡を渡される。眼鏡の上から装着できる大きいものだが、その違和感はずっとあった。ところどころで(魔法で建物の中に雪が降るシーンなど)さすがにこの効果の「魔法」的な実感はあるが、ストーリーに没入してるとあまり意識できなくなる感じ。どうしてもなくてはならない技術ということもない。
 この映画シリーズは前2作も劇場公開時に観ている。今回も楽しみにしていた。原作を子供のときに読んで親しんだはずが、話はおおかた忘れていて、映像で再現されて懐かしく思い返すことができるもの。またまたノスタルジーであるが、こちらの歳のせいだけではない。
 原作自体に少年少女時代へのノスタルジーがあって、それが原作者C.S.ルイスイデオロギーであるカトリシズムの西欧中世封建秩序への復帰願望と重なって有機的に結びついている。これは近代に対してそれなりに革命的なのであるが、シリーズでいずれ映画化される「馬と少年」には露骨にオリエンタル(アラブ人)嫌悪があったはずで(今回も既にちょっとある)、これは今日の「文明の衝突」の趨勢の中であまりにキナ臭くないかという気はする。
 原作が戦後まもなく書かれたから、最初に出てくるように今回もまだ「現実」には第二次世界大戦中の話なのだが、たとえば第1作でエドマンドが(今回もまた誘惑を受ける)魔女にお菓子をえさに裏切りをさせられるエピソードがある。自分なんかはまだこういう戦中銃後少年の甘味への飢えを父母の体験の間接的にも理解できるのだが、今の子供には原作の当時あったはずの生々しい屈辱の実感はわからないだろう。あと今回は本物らしいスピットファイア?が上空を旋回してるだけだが、第1作のハインケルHe111爆撃機によるロンドン爆撃シーンが無闇にオーセンティックな再現なのがミリタリー模型趣味的にニヤリだった。そもそもこの第二次大戦の軍事技術への関心も、戦後まだ30年くらいは社会的に戦争の記憶がしっかり残っていたことを前提している。