horror of mean army ?

淡路島かよふ千鳥のなく声に幾夜ねざめぬスマのセンチネル

文化亡国論

文化亡国論

文化亡国論

 作者:仮面女子って表紙や各章扉などを飾ってるだけなのだが。西宮にも来てたけど、いかにも色物っぽくて行かなかったな。モーニング娘。だって当初そうだったのだから偏見は持つべきではないのだけど。
 三島由紀夫の著書のパロディであるタイトルだが、三島のような、あるいは一方の対談者(言い忘れたが作者とは対談者)である笠井氏の過去のような20世紀的ニヒリスト革命者の時代がどう終わってるかということもサブカルチャーに託して語られている。仮面女子ではないがそのテの文化にどっぷり浸かっていながら、われは20世紀の子なりけりで「大きな物語」に恋々たるところも笠井氏ほどではないけど(笑)あって…。今現在も『ツァラトゥストラ』とか読んでシビレてるのよ(笑)。
 自分なんかのよく知らないジャンルにも目配りが届いて示唆されることが多かったが、特に笠井氏が今から30年も昔に紹介していたレヴィナスイリヤ概念でゾンビを語っているところ、最近ではアンジュルムの新曲で人造人間としても現れたがハロプロのコレオグラフィーによくあるモチーフなので興味深い。これこそが21世紀的な、もはや人間ともいえないような人間のありかただっていうね…。
 ひとつだけ異論があるのが『宇宙戦艦ヤマト』の評価。あれは本書で言われるように(仮想戦記的な)ご都合主義でナチスと戦争してるのではない。以前にも指摘したように、ガミラスイスカンダルの二重惑星という構想でアメリカの二重性を語っているのであり、日本人にとってのアメリカの恐怖=ナチスと魅惑=恩恵なのである。そして今日ではアメリカの魅惑や恩恵というものは一部の(しかし支配層の)売国奴以外にはほとんど感じられず、ナチス以外の何物でもない恐怖しか感じられなくなっていようか。