horror of mean army ?

淡路島かよふ千鳥のなく声に幾夜ねざめぬスマのセンチネル

村松友視『トニー谷、ざんす』

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 この人がモデルである赤塚漫画のキャラクター「イヤミ」(彼がそう誤認された進駐軍の日系二世に対する反感を直接的に言明したネーミング)として間接的にしか知らないが、平岡正明が評価してたので気になっていた。逆にこの本では、トニーの全盛時(はラジオと劇場の時代)、逆境を経てちょっとTVでカムバックのあとに晩年の小ブームに至る間の彼にとってシーンを遠ざかった時期に時代と切り結んだ芸は竹中労平岡正明闇市水滸伝」だ(トニーにはそんなことは無理だった)みたいな記述があって、へえ〜そんなこというかなって感もあった。たしかに両人ともTVに出たりDJやったりの芸人的なところもあったんだが…。
 書下ろし執筆90年代後半当時にもう歌手や映画スターに替わって芸能界を制覇していたタモリビートたけしといった芸人に芸風で先駆して、その時代にマッチして持て囃されはしたがタモリやたけしのような覇業には至らなかったトニー谷とは何だったのかを、トニーと直接交流のあった著者の祖父(実父が早逝して戸籍上は父)村松梢風の「上品な芸」という評言もまた謎として、当時のマスコミ報道や関係者へのインタヴューで探索していく。
 この本で言及されないが、タモリやたけしほどの大物でないトニーの(たぶん当人たちは自覚してない)フォロアーが、田代まさしルー大柴だ。前者がルックスと性癖、後者が芸風の正統な継承で。性癖というのは、こんな大昔にダンサーの楽屋で盗撮したり、当時のでっかいリール式の録音機二台使ってオリジナルのエロテープ自作したりみたいなマニアックな変態ぶり(笑)。
 と書いた後ではいささかはばかられるが(苦笑)、自分じゃ「のび太」より、この人に似てる気もするんだが(笑)。