呉智英 適菜収『愚民文明の暴走』
以前、今のネトウヨは呉智英の劣化版だと指摘したことがある。その際はそもそも呉が平岡正明(と上杉清文)の劣化版として位置づけていた。この対談(集)の(ひとつの)中で呉がポロッと関根弘の芸術家/職人の二元論をたとえに出すのだが、そこのところに(呉の在学当時)早稲田の革マル文化圏っぷりというお里が知れるのである。むしろ平岡正明も含む新左翼の劣化版としたほうが正確だったかと。野口冨士男前掲書で、野口が(その)関根弘に「あなた、(雑誌名)新日本文学にずいぶん早く小説を書いているんですね」と言われるエピソードが記され、(巻末)川村湊解説でも特筆されるのだが、関根がなぜそういうこと言うのか、そのニュアンスはこれだけからは意味不明だろう。