- 作者: 田中克彦
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2009/06/19
- メディア: 新書
- 購入: 5人 クリック: 52回
- この商品を含むブログ (46件) を見る
本書によるとモンゴル人には戦争よりスターリンの粛清の方がはるかに災厄で、満洲国の統治の方が客観的に善政だった(しかし日本側も小規模に粛清もしてる)のだが、結果的にソ連が崩壊してモンゴル国として独立できたのが日帝支配の「満蒙」から戦後中国領に残ってしまった蒙古族より幸いだったという皮肉。
以前よんだ著書から直感できたように司馬遼太郎との関係もあって、先方から失礼なアプローチがあって直接親交しなかったなどの経緯を記した「あとがき」に、なお同じモンゴルフィール(モンゴル好き)として共感が示されている。司馬は、中ソ対立(当時)がそれぞれ相手にモンゴルの幻影を見て恐怖し合っていると指摘していたが、幻影として恐怖されたモンゴル人こそが双方からの被害者なのだった。