川本三郎『「それでもなお」の文学』
- 作者: 川本三郎
- 出版社/メーカー: 春秋社
- 発売日: 2018/07/11
- メディア: 単行本
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単なる武士政権の所在地だった鎌倉なぞと違い神戸は真に古都であるだけでなく、にもかかわらず空襲に遭っている。従って冒頭の引用はまったく事実として成り立たないといえる。小松左京の『やぶれかぶれ青春記』では海浜の川崎重工に勤労動員時に空襲に遭って六甲山系鷹取山まで、『果てしなき流れの果に』では三宮からやはり六甲山麓の諏訪山公園*1まで走って逃げる話があるが*2、福原京の古都であるばかりか戦艦榛名とか建造した造船所があって必然的に空襲に遭うのが神戸なのである。福原は正しくは(神戸でなく)兵庫であって、神戸というのはその東側に開港によって出来た外国人居留地に始まる。つまり横浜と鎌倉が合体したような(しかも鎌倉より由緒正しい)のが神戸なのである。