世界の歴史 3 古代インドの文明と社会 (中公文庫 S 22-3)
- 作者: 山崎元一
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2009/06/01
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 6回
- この商品を含むブログ (2件) を見る
前に読破を宣言したこのシリーズ、この巻でようやく30巻中の半分を読んだことになる。最初ビザンツの巻を読んだだけの時には我ながら予想もしない展開なり。
このシリーズは単に歴史というだけでなく、地域研究的な書き方も多くされている。この巻なんか特にそうで、この原理論と現状分析の中島岳志「インドの時代―豊かさと苦悩の幕開け (新潮文庫)」で、かなり「わかった」気はする。
宮崎市定の京大東洋史だとアレクサンドロスの侵入でインドの古代は終わるんじゃなかったかな? この巻ではイスラムの征服と仏教の衰退までが古代となっている。(中島著で触れられてるように)たぶんインド現地の認識もこれに近いと思われる。こういう世人の常識に逆張りして「日本に古代はあったのか」みたいな、京大史学のあざとさが嫌い。
今般イギリスのEU離脱騒動には歴史観の相違というのもあるだろう。もうイギリス人(の相対的多数)、ギリシャ・ローマを自分たちの古代とは思ってないのではないか。日本に古代がなかったとすれば殷周秦漢を日本の古代とすべきだが、そう考える日本人はほぼおるまい。
話がそれたが、やはりこの巻は仏教の興亡と表裏するカースト制度の確立が主なテーマで、後者がインド理解の核心であるのはいうまでもない。仏教と同様、士農工商以下略というものが伝わったのかどうかともかく日本にもあったわけで、日本仏教もおおかたヒンドゥー教化した印象をインドにおける仏教の衰退を説明する段から受け取られた。
それで今、島崎藤村に興味あったりする。なぜか笠井潔と比較してみたりして(笑)。逃げるように渡仏したとこなんかね。