horror of mean army ?

淡路島かよふ千鳥のなく声に幾夜ねざめぬスマのセンチネル

古賀新一

 角川文庫からこんなものが出てたんだなあ、というのがブックオフの105円本『魔女地獄―古賀新一傑作集 (角川ホラー文庫)』。呉智英にさんざん叩かれていたこれも日共系の漫画評論家石子順の解説入りなのが玉にキズだが、そのエセ社会派の俗論が、まあこういった純粋にガキっぽい創作の擁護となることもあるのかもしれない。もう少し高級に語るなら(笑)、そのガキっぽい無軌道の筋書きが、かえって原始的な心性にとどいている世界なのである。最近読んだ『中国の神話伝説〈上〉〈下〉』(これは西尾幹二江戸のダイナミズム―古代と近代の架け橋』で知った)の抱腹絶倒に近い。また、エドマンド・ウィルソンの『森林インディアン イロクォイ族の闘い』は真に社会派でもあるのだが、アメリカ原住民の神話的世界にも入り込んでいて、これからの興味で現在はルース・ベネディクト文化の型 (講談社学術文庫)』やレヴィ=ストロースやきもち焼きの土器つくり』を読んでいる。
 さて、この収録作の半分くらいは少年チャンピオン初出の『エコエコアザラク』シリーズなのだが、このヒロイン黒井ミサを演じた吉野公佳のAV(といっても「本番」はなかったらしいのだが)出演が最近伝えられていた。しかしあらためて原作の黒井ミサを見ると、吉野公佳より中嶋美智代の面影があるんだよなあ。
 最後に収録された作者最初期と思われる作品「餓鬼」をおそらく初出で読んでいる。これは子供心にトラウマとして残っていたが、今回やっと古賀新一の作品だったと認識した。