- 作者: 與那覇潤
- 出版社/メーカー: エヌティティ出版
- 発売日: 2011/01/14
- メディア: 単行本
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本の内容の説明とか端折り、面白いと個人的に思う核心だけ挙げると、この著者の日本と中国を等距離に眺められるスタンスである。これは著者の姓から容易に推測できるように、ルーツが琉球の人であるのが大きいであろう。それはどこか、チェコスロヴァキア初代大統領マサリクが『ロシアとヨーロッパ』をものした立脚点に近いものが感じられるのである。
ここで改めて批判しておきたいのは、同じく内藤湖南のテーゼから出発しながら、ただ「日本に古代はあったのか」などと一国内的に矮小な次元に落としこむ、井上章一国際日本文化研究センター教授である。結局のところ彼は、武士による関東の革命政権樹立と先行する全共闘世代に対して、それぞれ反動的京都人にして日和見保身世代としてルサンチマンにもとづく陰険なせせら笑いを浴びせかけたいだけなんであろうが。