horror of mean army ?

淡路島かよふ千鳥のなく声に幾夜ねざめぬスマのセンチネル

05.Crazy 完全な大人 ★℃-ute

 Berryz工房のセンター夏焼・菅谷(嗣永は準センター)二人のケバいルックスはアイドルのディシプリンを逸脱しているから、事務所に対して反抗して、そうなのかとも見られる。当人たち(事務所も含め)の意識はあるいはそうでも、しかしむしろ、プロデューサーの出身母体たるシャ乱Qの和風グラムロックを彼女らなりに(無意識に)継承しており、暗黙の了解のもとにハロプロアイドルの「密教」を一方で担うものといえる。そうして、これがキモヲタの意識の範囲内をついに出ないからキモイだけの作品でしかない似非アイドルに陥らない担保にもなっている、つまるところ芸能文化に対する事務所の無自覚な見識でもある。似非アイドル集団をヨイショする類のヒョーロンカ輩は、当人のつもりは単に身過ぎ世過ぎかもしれないが、こういうセンスのなさを満天下に晒して恥じないのだから、根本的に無知なのだと呆れざるを得ない。
 さて、この℃-uteはといえば、まがうことなくハロプロ顕教」の極である、表看板のモーニング娘。'14以上に。むしろ現在の娘。には(もっと自由な)J=Jとともに初期ベリ的な実験性があって、事務所的に手堅くアイドルをやろうとしてるのは、こちらだと思える。しかして、ニューミュージック由来の事務所ディシプリンに忠実であろうとして、語彙が妙に堅苦しくなったり生活リアリズムで世知辛くなったりする歌詞が、その最大の弊害である。ベリなんかだと「金貨のプールで泳ぐ」とか「今度の週末はイギリス留学」とか庶民派バブリーな夢想を全開させているのに(そういう意味でも芸能的に「密教」)。
 ただ、かかる生真面目さにおいてこそ、このグループの勝負を賭けた年に対する決意として、サウンドに終末SFマインドがあり、かつ悲壮にロマンチックな楽曲に仕上がった。