- 作者: 竹熊健太郎
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2000/07
- メディア: 文庫
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欧州で主流らしい死刑廃止の信念がためにする議論で事件の真相が隠蔽されただの刑死した彼らを殉教者にしてしまうだのいってるが、まず後者は麻原の拘置中の見苦しい行状で神格化は不可能だし、それでも神格化するような者はもう極少数の池沼で問題とするに足りない。事件の真相は、おおよそこの書で示されたとおりであると思える。
本書が著者の来歴に即して、まさにオウムがオタクたちの現世忌避的ニヒリズムのツボにはまったカルトだったというのはわかるけれども、麻原自身は目的意識的に信者をカモにしている(本書ではその時点の限界でそこまで見切っていない)のであって、南鮮邪教ムーニーなどとなんら変わりはない。早川なんかはそれに乗じてオタク的というよりそれ以前の過激派革命願望を果たそうとしているのだが。
オタク的にディテールで反論させてもらうと、仮面ライダーが特撮番組としてウルトラマンに劣るというのは承服しがたい。特撮技術で仮面ライダーがトランポリンで跳んだり跳ねたりというのは耳に痛いが(苦笑)、ヒーローに対する敵の設定を、首領―怪人(幹部)―(平)戦闘員とヒエラルキーを示すワンクールに一貫した組織論を持たせることでウルトラシリーズの怪獣宇宙人の放送一回性蜂起より一日の長があるのだ。これは東映特撮としてジャイアントロボからあって仮面の忍者赤影を経て受け継がれたものだが、つまりヒエラルキー組織の全責任は首領=教祖にあるということであって、ここにしっかと着目しないと、著者のように一般信者に責任を分散し(すぎ)てしまうのだ。