horror of mean army ?

淡路島かよふ千鳥のなく声に幾夜ねざめぬスマのセンチネル

謎のプリントアウト書類

しおり伝説

 産みの親、育ての親、戸籍上の親、という「親格」のトリニティは、ふつう文字どおりに「三位一体」なのだが、ここではそれぞれ別個のパーソンとしてある。弁証法的なドラマツルギーを展開するための、これは昼メロ的に下世話なカソリック神学。父としての神、子としての神、聖霊としての神、という神格のトリニティは、歴史的にローマ帝国占領下のイスラエルで、治安維持上の措置として処刑された新興宗教の一教祖が、イコール神であるとする信仰に基づくが、その男がやはり神とは別個としか見えなかった困った事実から帰納された理屈ではある。今回は逆に、むしろ演繹的に「話を面白くする」ものだ。
 その話とは女性週刊誌的にトピックなアイドル「伝説」で、先に示した設定も、当然その一部を構成している(いわゆる出生の秘密)。長山洋子歌うところの演歌がテーマ・ソングにふさわしい、運命的にアイドルになっていく少女「しおり」と三人の母親の、各自、相互の葛藤が主題である。故・土居まさるが「スーパージョッキー」で司会者の時にアシスタントだった相本久美子演じる、立場的に一般ピープル(ルックスはその限りでない)育ての親が主人公であって、現役アイドル少女前田亜季が、その相手役に過ぎないのも、放映時間帯から想定される視聴者の多数派からして仕方のないことだ。しかしこの、ヒロインおばさんの退役アイドル性も捨てがたい。
 親として「しおり」の愛情を争う最大のライバルは、渡辺美奈代が地で(?)演じるアイドル上がりの女優である。彼女がアイドル時代に妻子ある男性と不倫に陥ってもうけた子が「しおり」なのだ(「妻子」は戸籍上の母と姉になる…この団塊&ジュニアは世代として非アイドル)。このドラマは、三世代のアイドルを現在の同時性において典型的に描くリアリズムでアイドルファンをも、うならせるものがある。われわれの中核をなす年代(20代後半)の男が、主人公のおい(少女のいとこ)という身近な局外者としてナレーションを担当するのも、ゆえなしとしない。

…というレヴュー文書が、ひょいと出てきたのだが、なぜ書いたのか、それをまたわざわざプリントアウトしたわけもまったく覚えていない。ドラマ自体もう記憶になかったのだった。パソコン買って、まだネットに接続できなかった時期かな?(ちょっとうちの電話回線の設定が古いのに気づけず手間取った)モーニング娘。もブレイク前で、こういうアイドルもフォローしてた頃だったか…。という当時プレみんあみも乙かとアップしてみた。