horror of mean army ?

淡路島かよふ千鳥のなく声に幾夜ねざめぬスマのセンチネル

堀切直人『グレートシフト完全ファイル』

 著者の(固定)読者層は一定あるはずだが、そういう人たちがネットで評してる気配のない著作だ。扱ってる主題関係の「スピリチュアル系」では好評のようである。この著者らしい多数の書物からのまとめ方がすばらしいとして。この界隈の共有する意識志向を個々の著作から丁寧にたどって明らかにしているからだ。ただこういう事柄を普通の人、とりわけ著者の読者を自認するような人はバカにしているのがデフォルトだろう。その辺の消息がネット上の(文字通りの)不評、黙殺につながっていようか。
 少し古い本だが海野弘世紀末シンドローム―ニューエイジの光と闇』だと、重なる領域を取り上げていても距離を置いて(好意的に)面白がる態度で、それまでの海野弘読者にも受け入れられるものだ。ところが、本書だと著者はもう一種の「信者」として語っているので、非常に戸惑いを覚えさせるものだろう。しかもその「信」は2012年12月21日という「期日」をもっていたために、「期限切れ」で安く売られていた本書を購入して読んだ者には一層、その破綻が痛ましく思われる(それでも「信者」は「信」を弥縫するものと思われるが)。
 しかし、著者の「信」の切実さは、少し前の著作『原っぱが消えた―遊ぶ子供たちの戦後史』の喪失感がもう文明の存続自体の懐疑にまでいたっているとも思え、一見すると本書と真反対の主張とも思える「良書」だけを読めと説いた『読書の死と再生』の頃より著者の危機感は一層深刻なのではないか。
 この文脈に通じるのが、最近の映画で「ザ・ウォーカー」(原題The Book of Eli)だ。ネタバレになるので内容は紹介しないが、ある意味もう終末後に生きてるのが今のわれわれだろう。望まれた「アセンション」は訪れなかったが、(ほぼ近い時日の)第46回衆議院選挙後の世界だ。ネットでの発信もされない著者なので、実際に会って話を伺ってみたいとも思える。