horror of mean army ?

淡路島かよふ千鳥のなく声に幾夜ねざめぬスマのセンチネル

及川眠子『破婚: 18歳年下のトルコ人亭主と過ごした13年間』

破婚: 18歳年下のトルコ人亭主と過ごした13年間

破婚: 18歳年下のトルコ人亭主と過ごした13年間

 トルコ人の嫁になった話は以前貼ったニュースの中で知っていたが、こういうことになってたとは…。「アラブの大富豪」じゃないが何となく金持ちの相手と結婚してるとロマンチックに(笑)思ってたのが当てが外れて、今では(男女ともに)よくある発展途上国出身の配偶者(とその家族)にカモにされる話だった。被害総額3億円。
 トルコ現地でそういう話をよく目にして、自分はそうなるまいと思ってたのに(客観的には)そうなってしまうのが何だかなであるが…。だいたいトルコくんだりまで単身で旅行を楽しむ四十路の日本人女性(つまり金持ち)を打算抜きで好きになる(ほぼ無職)トルコ男もいないだろうに。
 こういう一般性とは別に、女流作家が稼ぎのない夫を保護者然として扱ってきて裏切られる話(を書いている)は、これまた当ブログで紹介した平林たい子の(日本経済の成長に伴って)国際的に規模を大きくした再現でもある。著者本人に自覚はないと思うが。
 たい子の夫が(ある意味)好人物なように、このトルコ人(正確には今シリア情勢で話題のクルド人。Eと仮名だがネットでは本名も顔も晒されてる)も騙すつもりでもなく著者に愛情を持ってたらしいのも事実で、そのことが無自覚に客観的に巧く(結果として)騙すことになったようである。というより、別れた後に「天使と悪魔が背中合わせにある人」(占い師の診断)といわれたこの人物は、天使から悪魔へと(金の自由になる)環境によって変わっていったのがわかる。最後的にはこれまた(八犬伝の)「網干左母二郎」なのだが(たい子の夫はそこまで酷くない)、日本人だとこういうタイプは確実にDVを振るうもので、それがなかったらしいのが救いだ(やっぱり個人的な資質か)。
 その最終の悪夢のような日々から、ついに離婚にこぎつけ、新しい男性に出会ってハッピーエンド…と思いきや、その男性とすぐ別れてしまったことが最後に記されて苦笑を誘う。最初の夫(トルコ人は二度目)とは半年で別れて、再会しても「誰だっけ…元ダンだ」みたいな、平凡な男では満たされない著者と13年も(婚姻関係で)続いた彼とは、ある意味似合いの夫婦だったのではないか。