東浩紀『セカイからもっと近くに 現実から切り離された文学の諸問題』
セカイからもっと近くに (現実から切り離された文学の諸問題) (キー・ライブラリー)
- 作者: 東浩紀
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2013/12/12
- メディア: 単行本
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採り上げてるのが、新井素子、法月綸太郎、押井守、小松左京という…最初の二人は個人的にまったくスルーしてきた作家だが、著者の一番評価の高い(と思える)のが新井素子で、その論じ方からも今後ぜひ読んでみたい。著者は四人に共通するセカイ系的な素質でセカイ系に(なることに)抵抗しているその抵抗を評価する。セカイ系の擁護者と見られてきた(らしい?)著者はセカイ系を趨勢とは見るが認めてはいないのだ。もともとこの人は自他共に認めるオタクといわれるが違うのではないかと思っていたから我が意を得たり。
ただこれに直接は関係ない苦情を述べると、長編からの抜粋を入れる著者による小松左京アンソロジー(河出文庫)は感心しない(何気に本書で宣伝してるが笑)。そんなのをそこだけ読むくらいなら最初から全部読むよ。たとえば集英社文庫から昔出た、単行本未収録ばかりで編んだ『猫の首』という短編集、そういうものでありながら(よほど)強烈に小松エッセンスを楽しめる。こんなのをBOで掘り出して読むのが通(笑)。