horror of mean army ?

淡路島かよふ千鳥のなく声に幾夜ねざめぬスマのセンチネル

うる星ビュードリ冒頭は埴谷死霊的と松田政男

東浩紀『セカイからもっと近くに 現実から切り離された文学の諸問題』

 現実から切り離された、というのが(著者的に広義の)文学の趨勢だという前提はもっともらしいのだが…ここ最近そうだというだけで、またどうなるかわからないよ(笑)。それはともかくとして、読み応えがあって面白かった。もうこういう文芸批評は書かないというのだが、著者の向き(不向き)といえば、これが一番向いてる気がする。
 採り上げてるのが、新井素子法月綸太郎押井守小松左京という…最初の二人は個人的にまったくスルーしてきた作家だが、著者の一番評価の高い(と思える)のが新井素子で、その論じ方からも今後ぜひ読んでみたい。著者は四人に共通するセカイ系的な素質でセカイ系に(なることに)抵抗しているその抵抗を評価する。セカイ系の擁護者と見られてきた(らしい?)著者はセカイ系を趨勢とは見るが認めてはいないのだ。もともとこの人は自他共に認めるオタクといわれるが違うのではないかと思っていたから我が意を得たり。
 ただこれに直接は関係ない苦情を述べると、長編からの抜粋を入れる著者による小松左京アンソロジー河出文庫)は感心しない(何気に本書で宣伝してるが笑)。そんなのをそこだけ読むくらいなら最初から全部読むよ。たとえば集英社文庫から昔出た、単行本未収録ばかりで編んだ『猫の首』という短編集、そういうものでありながら(よほど)強烈に小松エッセンスを楽しめる。こんなのをBOで掘り出して読むのが通(笑)。