モーニング娘。'14「時空を超え 宇宙を超え」(Promotion Ver.)からイキナリ始まる今回。肝は「恋に破れて山河あり」だろうな。今月号の「現代思想」誌の柄谷氏との対談で丸川哲史氏の指摘するところでは元ネタ杜甫の「国破れて山河あり」とは「国敗れて」ではなく(戦後日本人は敗戦から帰郷した兵士の感慨みたいな受容が一般的と思われるにかかわらず)中華城郭都市を囲んだ堡塁が破れて倫陥しても外の山河の解放区に戦略的撤退して抗戦するという意味なのである。
この作者の直観的に正しい理解では「上京物語」的な関東「原子力都市」(矢部史郎)への恋(幻想)が破れる、それは福島第一原子炉が(文字通りに)破れた結果でもあり、その象徴としてもある生理的な自身の死活の闘病からぎりぎり得られたであろう認識だ。山河ありとは、SATOYAMA & SATOUMIというハロプロ解放区なのであろう(しかし関東の放射線倫陥区の外に出ないと)。
「遠い未来は」ハロプロ・アイドルがその予感であるような弥勒の降臨が約束されて(大乗仏教徒ととして)わかっているが、現状の見通しは真っ暗である。しかし、この予感を握りしめていくしかない、そのような黙示録である曲だ。